中間車なのにスノープラウを装備している キサロハ182-5101
とあるクイズ番組で、先頭車に取り付けられている排障装置(スカート)の役割は何か?ということが問題になっていたことがありました。
一つは床下機器類の損傷防止のため、二つ目は障害物などが車輪などに巻き込まれないようにするため、そして三つ目は見せる必要のない機器を隠す(デザインの)ため、というのが答えだったような気がします。
確か、正解を京急の車両の前で説明していたと思います…
スカートとは違いますが、降雪が見込まれる地域を走る鉄道車両には“スノープラウ”という除雪装置がスカートと一緒に取り付けられています。
通常、スノープラウは先頭車両に取り付けられるもので、スカートの下部にチラッと見えるスノープラウがその車両の重心を低く見せてくれるので、JR車両を撮るときに構図が安定します。
雪で苦労している地域の人たちには申し訳ないですが、雪を掻く装備がその車両に付いているだけでも浪漫を感じ、そして北国を連想させてくれるんですよね。
そんな北国仕様の基本中の基本となる装備のスノープラウですが、JR北海道にはスノープラウが取り付けられている中間車というのが存在します。
JR北海道の苗穂工場で1990(平成2)年12月に製造されたリゾート車両「クリスタルエクスプレス トマム・サホロ」の3号車の キサロハ182-5101(札ナホ)です。
キサロハ182-5101(札ナホ) 2016年8月1日 岩見沢駅
上の写真をクリックすると大きな写真が表示されます。
1989(平成元)年12月に「クリスタルエクスプレス トマム・サホロ」のキハ183系5100番代が登場しましたが、このときはハイデッカー仕様(普通車)の3両編成のみで構成されていました。
1990(平成2)年12月に日本初の2階建て気動車として キサロハ182-5101 が増備されて、「クリスタルエクスプレス」は4両編成となり、グリーン個室やセミコンパートメント(普通席)、ビュッフェ、ラウンジなど多彩な車内設備を誇る編成に成長しました。
最近は「クリスタルエクスプレス」の稼働率は低下傾向にありますが、初夏から秋にかけては札幌〜富良野間の臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」に使用されています。
キサロハ182-5101 は1階部分に4人用個室が3室配置されています。
4人用個室はグリーン室の扱いとなっていましたが、現在は普通車の個室として販売されるようです。
しかし、この写真を見る限りでは、カーテンがすべて閉ざされているので一般販売が行われなかったみたいです。
キサロハ182-5101 は上述のようにスノープラウを取り付けた珍しい中間付随車です。
これは、1階個室が配置されている低床部構体に氷雪が衝突するのを防ぐために取り付けられました。
なお、1991(平成3)年に落成した「スーパーとかち」用の2階建てグリーン普通車のキサロハ182形550番代は、低床部構体の端部(台車近接部分)にバンパーのようなものを取り付けて氷雪の衝突を防いでいます。
キサロハ182-5101 のTR69D台車(後位側)
この台車(TR69D)はサハネ581形の廃車発生品を再利用したものです。
サハネ581形は国鉄末期に青森運転所(盛アオ)から札幌運転所(札サウ)に転入してきたB寝台付随車で、当初想定していた改造種車として活用されることはなく、1990(平成2)年に札サウの7両すべてが廃車されてしまいました。
しかし、1両分の台車だけがこのように再利用され、その際にスノープラウの取り付けや一般的な耐雪耐寒対策が施され、さらに滑走制御装置と車輪踏面清掃装置の取り付けとブレーキテコ比の変更が行われました。
秋田車両センター(秋アキ)の583系も残りわずかと言われていますが、581・583系のサハネ581形からもらった台車を履いた キサロハ182-5101 は本家引退後もしばらく使われるかも知れません。
でも、近年は「クリスタルエクスプレス トマム・サホロ」も稼働率が低下傾向ですので、キサロハ182-5101 が今後も安泰とは言い切れませんね…
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