「北斗星」の食堂車“グランシャリオ”(スシ24 506)
土曜日(3/23)の鉄道ニュースに「EF65 1118が24系客車をけん引」というが記事があるように何かと話題の黒磯訓練列車ですが、その試運転に寝台特急「北斗星」用の食堂車スシ24形が組み込まれました。
牽引機の EF65 1118 も撮れるときに撮っておくべき車両ですし、黒磯へ向かう途中に日光線の下野大沢駅に寄れば、今回のダイヤ改正で投入された205系600番代も撮れるので、つきみ野駅の朝一番列車 5:14発に乗って黒磯まで行ってきました。
なお、これは昨日(3/24)の話しです。
今回の出撃は、日頃撮れそうで撮れなさそうな車両も撮りたかったので、途中の小山では水戸線の415系1500番代を撮りました。
勝田車両センター(水カツ)のK527〜K531編成を組成している車両は国鉄時代に落成した初期形車両ですが、これまで撮影可能なときに出会えなくて困っていました。
昨日は運良く小山にいた1時間のうちに水カツでは最若ナンバーのK527編成が入線してくれたので、車体側面の行先表示器(方向幕)周辺のビード処理が異なる車両を撮影しました。
ただ、折り返し時間が短かったので、3両しか撮れませんでしたが、押さえるべき車両はキッチリ押さえました。
今まで、常陸多賀や水戸などで何度も415系1500番代を撮影してきましたが、なかなか初期形車両に出会えなかったので、ささやかな感動でした。
つづいて下野大沢。
ここには2時間弱しかいられなかったので、205系600番代のうち2両だけしか撮影できませんでしたが、投入直後の姿を記録。
懸念していたとおり、落成直後のため床下機器が真っ黒で、床下が黒潰れなので写真としてはイマイチ。
また、ダイヤ改正により日光線の全列車が4両編成になったため、行き違いがある場合は2つの編成が被ってしまい撮影できないことが分かったので、これはこれで収穫でした。
途中の宇都宮ではE231系、黒磯ではE721系と701系。
それぞれ行けば簡単に撮れる車両ですが、気持ちがいいくらい曇ってくれたので、Nikon D800E できれいに撮り直しができました。
黒磯で Facebook「形式写真会」メンバーの「I TRENI ~失われし鉄道車両を求めて」の冨田さん、「国鉄型車両の系譜シリーズ」のときにお世話になったKさんと合流し、黒磯訓練列車の24系客車をゆっくり撮影しました。
残念ながら牽引機は EF65 1118 ではなく EF81 81 でしたが、24系食堂車の スシ24 506 についてはじっくり撮影することができました。
スシ24 506(東オク) 2013年3月24日 黒磯駅
上の写真をクリックすると大きな写真が表示されます。
スシ24 506 は サシ489-83 を1988(昭和63)年に改造した車両で、もともとは1974(昭和49)年製のサシ489-12ですが、やや複雑な系列を持った車両です。
経歴を整理してみますが、こんな感じです。
サシ489-12 は特急「白山」などで使用された489系の食堂車でしたが、1978(昭和53)年10月改正で489系編成(「白山」など)の食堂車が廃止され、食堂車新製が抑制された485系1000番代の「つばさ」「やまばと」「いなほ」編成(秋アキ)に転用するため、485系化改造が実施されて サシ481-83 に改番されました。
1982(昭和57)年11月改正で「つばさ」「やまばと」「いなほ」の食堂車が廃止され、489系編成(「白山」など)の食堂車が復活したため、485系化されていたサシ481形80番代の3両のうち サシ481-83 の1両だけが489系に戻されて サシ489-83 に再改造されました。
しかし、1985(昭和60)年3月改正で「白山」の食堂車が廃止されたため保留車となり、民営化直前の1987(昭和62)年3月に北長野運転所(長ナノ)に転属して、その後JR東日本に引き継がれました。
そして、1988(昭和63)年2月に スシ24 506 に改造されました。
客車化改造では、24系客車のブレーキシステムに合わせるために応荷重付きブレーキ装置(CL)に変更され、内装のグレードアップ化が施工され、簡易運転台の撤去、防火対策、各種機器類の耐寒耐雪化工事が併施されましたが、485・489系時代の車体形状はそのまま残りました。
今回は FUJIFILM X20 で スシ24 506 の細部を撮ってみましたので、鉄道模型製作の参考になりそうな写真を数枚アップします。
スシ24 506の1位車端部
となりの“ロビーカー”オハ25 503 とは車体断面形状がぜんぜん違うので、雨樋高さがかなり低くなっています。
JR北海道所属車(スシ24 501〜503)と金帯の処理が異なり、JR東日本所属車は車端部付近の途中で金帯が切れています。
1位車端部付近の丸窓は従業員用便所で、同部分の床下には汚物処理装置が取り付けられています。
スシ24 506の汚物処理装置
1位車端部の床下には汚物処理装置が設置されています。
「北斗星」「トワイライトエクスプレス」用車両や「あけぼの」用のスロネ24形550番代・オハネ24形550番代など、耐寒耐雪構造が強化された車両は、下写真のように排水コックに箱形のカバーが取り付けられています。
「トワイライトエクスプレス」用のスシ24形0番代は便所が撤去されているので、汚物処理装置は取り付けられていません。
スシ24 506の調理室付近
JR東日本所属の4両(スシ24 504〜507)は調理室部分の側窓が1つ埋められています。
調理室のプラグドア横(写真右側)にあった冷蔵庫用の通風口も埋められています(スシ24 501〜503・508は存置)。
写真左側の冷房装置(AU13E系)の左側(後位側)に箱形の大形通風器が取り付けてありましたが、床下の電動発電機(MG)の撤去にともない、こちらも撤去されました。
何故か スシ24 504 には大形通風器が残されています。
床下の水タンク
スシ24形500番代は耐寒耐雪構造が強化されているため、床下の水タンクの両端に雪よけの覆いが取り付けられています。
国鉄時代に改造された14系500番代のように鋼板製のカバーで全体を覆うような構造にはなっていません。
スシ24 506の屋根上機器(手前が食堂部分)
前述のとおり大形通風器が撤去されていますが、それ以外の屋根上機器配置は電車時代と変わっていません(冷房装置のキセは交換されています)。
車体両端の回送用簡易運転台が撤去されているため、車端部の前照灯は撤去されています(写真には写ってません)。
スシ24 506の台車(TR69E)
ディスクブレーキ付きのTR69Eを流用しているため、電車時代と変わっていません。台車だけを見ると485・489系そのものです。
以上、FUJIFILM X20 で撮影した細部写真にコメントを付けてみました。
1月に発売された「国鉄標準形特急車両 形式485(イカロス・ムック)」の186ページには種車(サシ489-83)の写真が掲載されています。
昨日はその写真の約30年後の姿を記録したことになります。感慨深いものがありますが、これこそ車両写真の醍醐味だと思います。
「ブルトレ新系列客車のすべて(イカロス・ムック)」には スシ24 501・502・505・507・508 の形式写真が掲載されていますが、スシ24 506 は未掲載でしたので、今回は少し厚めにフォローさせていただきました。
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